学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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99「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」は成立した。また、GPAが就職満足度に与える影響は限定的であることが判明した。⑸ GPAと就職満足度についての考察 回帰分析の結果、仮説「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」は成立した。しかし、GPAが高い学生は、仮説を立てる際に用いたソーシャルスキルが高いという要因だけで高いGPAを得ているのではないと考える。 例えば、成績評価が最終試験100%で行われる講義があり、最終試験は筆記試験であると仮定する。筆記試験の解答は、書く分量が多ければ良いというものではない。提示された問題に対して、必要最小限の文字数で必要な要素のみを論理的に書いた者ほど試験成績が高くなる。試験成績が高い学生はGPAが高い。そのため、GPAが高い学生は「必要最小限の文字数で必要な要素のみを論理的に書いている」と考えられる。必要最小限の文字数で必要な要素のみを論理的に書くためには、「内容を表現できる」「情報要約力が高い」という2つのスキルの使用が必要である。なぜなら、与えられた問題に対して「内容を表現できる力」がなければ、そもそもの点数が低くなる。さらに、「情報要約力が高い」ことで、必要な要素を最小限の文字数で書くことができる。 この例から分かる通り、GPAが高い学生は単にソーシャルスキルが高いというだけではなく、所有しているスキルを上手く組み合わせることにより、高いGPAを得ている可能性がある。また、就職活動においても、上記と同様に所有しているスキルを上手く組み合わせることにより、上位に希望する企業に就職できていることにつながっているのかもしれない。⑹ 性別のGPA及び就職満足度 ⑷①の重回帰分析では、就職満足度と性別は有意ではなかった。しかし、性別のGPA及び就職満足度を比較したところ、下記の表6のような違いが見られた。就活を握るファクター -その1つのGPA-

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