学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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109ションがとれる」というスキルの高い学生は学業成績が高いという結果を示さなければならないのではないだろうか。 就職活動時には、就職活動生が、就職に不利になる情報の一部を隠蔽してしまうため、情報の非対称性が存在する。この情報の非対称性を部分的に補うものとしてシグナルが存在している。就職活動時のシグナルの1つとして、大学における学業成績の指標として広く一般に使用されているGPA(Grade Point Average)が存在する。GPAは単に大学での学業成績の指標というだけではなく、修学過程を通じて進路や経済支援などに活用しうる指標である。 しかし、シグナルの1つであるGPAは、「学生がまじめに講義を受講していない」等の理由により、企業はGPAを採用の参考にしていなかった。しかしながら、種市(2011)で、内容を表現できて柔軟なコミュニケーションがとれるスキル、つまりソーシャルスキルが必要とされることが示されている。また、内藤(2013)で、ソーシャルスキルが高くなるほど、学業成績も高くなることが示されている。上記の2つの先行研究から私たちは、「GPAが高い学生ほど、就職活動に必要なソーシャルスキルを高い状態で有している分、第1希望の企業に就職している」、つまり「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」という仮説を立てた。また、「大学成績センターデータベース」の普及により、成績の客観的な評価が可能になり、学業成績を見ることに意味が生まれたと考える。 上記の仮説と、成績を評価する企業が増えている現状を踏まえ、本稿では大学3年次まで勉学に励むことが、就職満足度に影響を与えるのかを分析した。なお、本稿では「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」という仮説を検証するために、アンケート1「GPAと就職満足度」の対象を松山大学経済学部4年次生に限定することで単純化している。 アンケート1「GPAと就職満足度」では就職満足度に影響を与える可能性がある項目を設定し、アンケートを実施した。そのアンケート結果を用いて、就活を握るファクター -その1つのGPA-6.まとめ

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