学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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110就職満足度を被説明変数、GPAを除く他の項目を説明変数とし、重回帰分析を行った。その結果、GPAを除く就職満足度に影響を与える項目は「希望する企業だった」「満足度が上がる要因なし」の2項目だけであった。また、「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」という仮説を検証するために、被説明変数を就職満足度、説明変数をGPA(3年次末)として、単回帰分析を行った。その結果、GPAは有意水準5%で有意であり、かつGPAの符号がプラスであることから、「GPAが上昇するごとに、就職満足度は増加する」ということが明らかになった。この結果より、大学3年次まで勉学に励むことが、就職満足度に影響を与えることが判明した。以上より、仮説「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」が成立した。そのため、「大学生は3年次まで勉学に励むべきである」と提唱する。 次に、「就職活動を終えた社会人と、大学生でGPAを重視する順番に違いはあるのか」という問題を検証するために、「社会人になるまでに高めておいた方が良い項目」を6項目設定し、その6項目を順位付けしていただいた。その結果、大学生が就職活動までに最も高めておいたほうが良いと思っている項目は『伝える力』であり、次いで『誰とでも話せる』であった。また、社会人が就職活動までに最も高めておいたほうが良いと思っている項目は『誰とでも話せる』、次いで『伝える力』であった。その後、集計した結果をクロス集計表にまとめ、有意水準を10%とし、項目ごとに「独立性の検定」を行った。その結果、全ての項目で有意な結果は得られず、「大学生と社会人で、GPAを重視する順番に違いはない」ということが明らかになった。 本稿では、「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」という事実が明らかになった。しかし、実施した2つのアンケートはサンプルサイズが小さく、また、アンケート2「スキルと順位付け」においては、コミュニケーション能力に関係する項目を2つ(「誰とでも話せる」「協調性」)設定しているなどの問題点が挙げられる。サンプルサイズを大きくする、項目の設定の見直しを行うことなどを今後の課題としたい。学生懸賞論文集第37号

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