学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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124 近年では「ペットブーム」が到来したと言われている。LIMOくらしとお金の経済メディア(2017)によれば、ペット関連費(ペットフード、動物病院など)の全世帯平均は、2000年には11,649円であったのに対し、2015年には16,967円と約1.5倍に増加し、単身世帯に限っては、ペット関連費が2000年と比較し約2倍に増加している。一般社団法人ペットフード協会(2017)によると、ペットを飼育するきっかけとして「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」という理由が最も多く、日常生活に対してのストレス等がペットブームに関係しているのではないかと考えられる。 ペットブームが起こっている一方で、ペットの飼育放棄、殺処分や虐待などの問題も発生している。環境省(2018)によると、自治体による犬猫の引き取り数や殺処分数は年々減少傾向にあるものの、2018年の犬猫の引き取り数は100,648件、殺処分数は43,216件となっている。また、警察庁(2018)によると、ペットの虐待事件も年々増加傾向にある。 つまり、ペットブームが起こり、かつペット関連費も増加傾向にある裏では、飼育放棄や殺処分などの問題が起こっているというのが現状である。そこで我々は、「ペットを飼うという行為が、飼い主の幸福度に何らかの影響を与えている」という仮説を立て、ペットを飼うこと、また飼い続けることによって幸福度が変化しているのではないかと考えた。本研究では、アンケート調査を行い、私たちの立てた「ペットを飼うという行為が、飼い主の幸福度に何らかの影響を与えている」という仮説が正しいのかを検証することを、本研究の目的とする。 なお、本研究では『幸福度』を用いているが、これはGDP(国内総生産)やGNI(国民総所得)という経済指標だけでは反映できない、個人の満足度(=心の豊かさ)を考慮してのことである。学生懸賞論文集第37号1.イントロ

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