学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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1252-1.【幸福度に関する先行研究】 浦川(2011)は、多くの人間が金銭的・物質的な財や富に偏った時間配分を行っていることを示したうえで、実際は、金銭的または物質的な財や富の拡大よりも、自身の「健康」や「家族関係」を充実させることのほうが高い幸福感を得ることができると示している。また、家族間交流が多い世帯の方が少ない世帯より幸福度が高いことも同時に示している。もし、ペットを家族とみなすのであれば、ペットを飼うことをきっかけに家族間交流が増え、幸福度が上がるのではないかという可能性を示唆した。 浦川(2011)は続けて、個人はもともと基本的な幸福感レベルを持ち合わせていて環境や状態に適応する能力を有していることから、幸福感が変化したとしても、基本的な幸福感レベルに戻す傾向にあることを示した。それと同時に、個人の基本的な幸福感レベルは、時間が経過するにつれ変化してしまうことも示した。2-2.【ペットに関する先行研究】 越村(2014)は、日本の犬猫のペットの頭数は、2008年をピークに減少傾向にあり、2013年には犬の頭数は5.7%減少したことを示した。そのことを踏まえたうえで、犬猫を飼っていない人を対象にアンケートを行い、犬猫を飼わない理由で最も多かったのは「集合住宅に住んでいて、禁止されているから」と言う理由であった。次いで、「十分に世話ができないから」という理由であった。それとは別に、ペットと暮らすことがどのような影響を及ぼすかについても述べている。子どもについては「心豊かに育っている」「生命の大切さをより理解するようになった」などの影響があり、続けて高齢者については「情緒が安定するようになった」「寂しがることが少なくなった」などの影響がある。また、夫婦関係については「夫婦の会話が多くなった」「夫婦の関係が和やかになった」などの影響があったことを示した。以上より、ペットを飼うことは、子ども・高齢者・夫婦の全てにおいて、主に良い影響があることを明らかにした。 金森.他(2002)は、介護施設において、通常の介護用ロボットではなく、ペットを飼っている人幸せ説2.先行研究

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