学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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4   同一の市内に同一の所有者が保有している土地等の課税標準額の合計が一定額未満の場合に固定資7第1節 自治体ヒアリング・アンケート第1項 調査方法・データ 本稿では、自治体での所有者不明土地の把握状況について、免税点4を基準としてみていくと共に、所有者不明土地の解消に向けて、特別措置法の施行による影響や自治体の寄付の受け入れ状況を調査し、「行政対応」の可能性を検討するために自治体へのヒアリング・アンケート調査を実施する。 自治体での所有者不明土地の認識状況や現状、どの程度問題視されているかを調査するために、2019年の5月~6月にかけて、愛媛県の4か所の自治体のきているという特徴がある。 2つ目に、中西(2019)で提案されている法律案の内容は、所有者不明土地が発生した後の事後的対応であるという点がある。また、2019年に施行された特別措置法も事後的対応を規定した法律となっている。所有者不明土地問題を解消する(あるいは適切に処理していく)ためには、所有者不明土地が発生することを未然に防ぐ事前的アプローチも必要である。本稿では、所有者不明土地への事前的対応の模索・提案をしている。このような事前的対応に注目した研究は筆者らの知る限りは未だに存在していない。 Estudillo et al.(2001)が明らかにしているように、土地所有者の家族構成が土地の相続伝達に影響を与える可能性があると考えられる。そこで、本稿では家族構成や相続に関する認識を尋ねる家計調査を実施する。この調査を用いて、どのような人が子どもに相続すべき土地の存在を伝達しているかを明らかにする。 自治体調査と家計調査の異なる2つの調査を併用し、自治体への対応と家計への対応の2つの視点から事前的対策の提言を試みる。これが本稿の新規性である。産税等が課税されない額。土地の場合には30万円未満の場合に固定資産税が免除される。所有者不明土地の解消に向けて 自治体調査と家計調査による実証分析第3章 分析

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