学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
147/159

140のではないかと考える。 「住宅」が幸福度に影響しなかった理由として環境が挙げられる。浦川(2011)では、近隣の人々との繋がりが幸福度にプラスの影響がある可能性を示している。また、内閣府(2011)では、生活満足度は物音などの生活環境によって影響を受けることを示している。すなわち、本研究で質問したような住宅の形態よりも隣人関係などの住宅環境が幸福度に影響を与えるのではないかと考える。 結果として、ペットを飼うという行為は幸福度に影響を与えなかった。また、ペットを飼う理由としては癒しを求める声が多いことは事実である。加えて、2.先行研究でペットの保有が幸福度に影響するという論文があるが、それらの論文に共通して言えることとして精神面の健康状態を良くしたり、ペットを介して会話がうまれたりすることに着目している。つまり、ペットを飼う行為には癒し効果は期待されるものの現在の幸福度に直接影響するものはないと考えられる。 アンケートの集計結果について回帰分析を行った結果、ペットを飼うことは現在の幸福度に影響を与えないことが分かった。これは、ペットを飼う理由があくまで「自分が癒されたいから」である。言い換えると、自分の欲求を満たすためである。つまり、幸福度に影響を与えうる「自分と似たような境遇にいる他者との比較」を行っていないためだと推察した。加えて、「性別」「年齢」「収入」「天気」「住宅」の要素も現在の幸福度には影響しないということもわかった。 人々がペットを飼う一番の理由は、先述の通り、癒されたいからであった。つまり、ペットを飼うという行為は今よりも更に癒しを求める行為だと言える。そして、本研究で目的としていた「ペットを飼うという行為が、飼い主の幸福度に何らかの影響を与えている」という仮説は検証できなかった。つまり、「ペットを飼うことは癒し効果が期待されるものの、幸福度には関連がな学生懸賞論文集第37号6.まとめ

元のページ  ../index.html#147

このブックを見る