学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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5   固定資産税等の課税額や納税義務者が確定する日8第2項 分析結果 初めに、自治体では所有者不明土地がどの程度問題視されているかという質問を行い、自治体には5段階で回答を求めている。「すぐに対処すべき問題となっている」、「問題ではあるが喫緊の問題ではない」と回答している自治体は全体の約50%以上であり、「どちらかと言えば問題となっていない」と回答した自治体は約18%、「全く問題となっていない」と回答した自治体は全体の約3%であり、所有者不明土地を問題視している自治体の方が多いことがわかる。 次に、所有者不明土地の把握状況についての質問を5段階(1:どこにどの程度存在しているか完全に把握している、2:ある程度把握している、3:あまり把握できていない、4:全く把握できていない、5:存在していない)に分けて回答を求めている。また、免税点による把握状況の差をみるために免税固定資産税等を取り扱っている課に依頼し、ヒアリング調査を実施した。その結果、固定資産税はどのような形でも徴収できれば問題視されることはないという回答であった。つまり、固定資産税は所有者が判明しない又は他界している場合などにおいても、 相続人が一人でも判明し税金を納めた場合や賦課期日5時点での使用者などがいる場合、所有者不明土地問題として認識されないのである。他にも、所有者不明土地は自治体が用地取得を行う際に判明することがほとんどであるという回答や、寄付を受ける際にも管理コストがかかることなどにより、土地に用途がない場合には寄付を受けることが難しいといった回答が得られた。所有者不明土地は固定資産税等を扱う課では問題視されることがほとんどなく、主に自治体の用地取得の際に問題となることが多い。 そこで、自治体アンケートでは、ヒアリング内容を踏まえた上で、2019年6月~7月にかけて、四国の95の自治体を対象に公共事業などを行う際の土地の収用等を行っている課に依頼し、実施した。アンケート内容は、自治体での所有者不明土地の把握状況や問題点、住民からの土地の寄付の受け入れについてなど計17項目の質問を行っている。また、今回のヒアリング・アンケート調査では四国の自治体を対象に行っている。学生懸賞論文集第37号

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