学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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1910   存命であれば1、他界していれば0としている。第4項 分析結果~回答者から回答者の子へ~ ⑵式の回答者から回答者の子への推定結果が表3である。ここでも第3項と同様に、全サンプルを用いる場合、子どもが息子のみの場合、子どもが娘のみの場合の3つのモデルを推定している。3つのモデルを推定している理由としては、子が息子であるか、娘であるかによって、相続の伝達状況が異なると想定したためである。で土地の相続が行われるには、普段の家庭内の会話が重要になることが明らかとなった。 社会関係資本の係数では、すべての場合で、1%水準で有意にプラスの結果となった。このことは、社会とつながりの強い人ほど、自分が相続する可能性のある土地の存在を把握していることを意味している。このことから、ボランティアに参加すること(市民参加)や、地域に愛着を持つこと(社会的連帯)が、土地を相続することへの関心を高めていると考えられる。 また、回答者の父親の有無10の係数が、回答者が長男または長女の場合のみ、5%水準で有意にマイナスであった。しかし、回答者の母親の有無では有意な結果は見られなかった。つまり、父親が亡くなると、長男または長女は、相続する土地の存在の認識が高まる一方で、母親の他界の場合にはそのような高まりは起きないことになる。土地の相続に関して、父親は重要な存在となっているのであろう。このことは息子に対して土地相続の伝達がなされやすいという上記の結果とも整合的である。 回答者が長男または長女の場合では様々な項目で有意な結果が見られたが、回答者が一人っ子の場合ではあまり見られなかった。その理由としては、子が二人以上の家庭と一人の家庭では土地の相続の伝達の傾向が異なることが考えられる。所有者不明土地の解消に向けて 自治体調査と家計調査による実証分析

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