学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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22の場合の両方で普段の家庭内の会話の充実度が相続認識に有意な影響を与えていることが示された。つまり、家庭内の会話を拡充することができれば、円滑な相続伝達を促すことができる。そして、このことは間接的に所有者不明土地の発生を未然に防ぐことにつながる。そこで、どのような要因が家庭内会話の充実度を高めるのかを明らかにするために、普段の家庭内の会話を被説明変数とした、順序プロビットモデルを用いた分析を行う。U3*を普段の家庭内の会話に対する個人 i の評価とすると、推定すべき関数形は⑶式の通りに表現される。 =β2,0+β2,1・genderi+β2,2・convi+β2,3・underi+β2,4・sociali+X2iβ2+ε2,i … ⑶U2,i* 家族で過ごす事象として4つの変数を入れている。それらは、dinner:家族一緒の夕食(1:全くしない~9:ほぼ毎日)、morning:家族一緒の朝食(1:全くしない~9:ほぼ毎日)、out:家族一緒の外食(1:全くしない~9:ほぼ毎日)、travel:家族旅行(1:全くしない~9:ほぼ毎日)である。X3はその他のコントロール変数であり、ここでは回答者の性別(男性=1)と年齢を用いている。またε3は正規分布に従う誤差項、そして、βは推定されるパラメータとなっている。 表4には⑶式を推計した結果を載せている。家族一緒の夕食、朝食、外食、家族旅行、すべての項目に有意にプラスの結果が見られた。これは、家族と一緒に、夕食や朝食、外食、家族旅行を行う頻度の高い家庭ほど、家庭内での会話が十分に行われていることを意味している。この結果から、家族との食事や旅行は、家庭内の会話を促進するためには重要であることが明らかとなった。表4 普段の家庭内の会話の推計結果VARIABLES家族一緒の夕食家族一緒の朝食学生懸賞論文集第37号全体0.0826***(0.0216)0.0468***(0.0143)

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