学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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満足度が高いということが統計的に有意に示されました。日本では大学での成績は就職の内定などにはほとんど影響がないような風潮ですが、この研究結果は、少なくとも就職活動を行う学生にとっては、GPAがプラスの効果をもたらすという興味深い結果であると言えます。銅賞を受賞した、経済学部3年の板倉貴大さん(他4名)の論文「ペットを飼っている人幸せ説」では、街頭でのアンケート調査データをもとに、ペットを飼っている人と飼っていない人では、幸福度に違いがあるのかどうかについて統計手法を用いて検証しています。結果として、統計的に有意な差は見られませんでしたが、明確な定義が難しい「幸福度」という尺度を用いて、仮説の検証を行った意欲的な研究です。 さて、本学の学生懸賞論文は1975年に制度が始まり、スタートしてからすでに45年となる、とても歴史のある制度です。1977年に刊行された『松山商科大学学生懸賞論文集』創刊号に当時の伊藤恒夫学長が執筆された「発刊によせて」では、「大学生らしい大学生」とは、受け身ではなく積極的に勉強することにあり、そうした学生の勉学意欲を刺激する1つの方法として、懸賞論文を募集してみることになったのだと思う、と書かれています。自ら研究テーマを設定し、自ら研究に取り組み、その成果を学術論文のかたちにまとめていく。こうした自主的な勉学の姿勢を養うことに、学生懸賞論文の趣旨があると言えるでしょう。 今回、入賞した学生からは、4年次の卒業研究でも引き続き、さらに発展した研究を行いたいとの声もありました。ぜひともがんばって、より良い研究に仕上げていただければと思います。また、多くの学生にとって、懸賞論文制度が、研究の面白さ・楽しさを実感する良い機会になればと願っています。来年度もぜひ、これまで以上のたくさんの応募があることを期待したいと思います。 最後になりましたが、指導教授の先生方には、日頃より学生指導などでこの懸賞論文制度にご協力いただき感謝いたします。今後も、学生の自主的な勉学を奨励するという制度の趣旨をご理解いただき、学生が学術研究のルールやモラルをより守り、より質の高い研究活動に取り組めるよう、ご配慮とご指導のほどよろしくお願い致します。

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