学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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38 2019年の第74回国民体育大会(通称、国体)から文化プログラムの種目となった「eスポーツ」が最近メディアで多く取り上げられている。しかしながら、日本経済新聞(2011)によると(以下、引用)“『オンラインゲームに5日間ぶっ通しでのめり込んでいた30代男性が死亡する事件が発生』”(引用終わり)と示されているように、ゲームは健康面への悪影響があると懸念されていることから、本稿では「部活動でeスポーツを導入しても良いか」を、検証していく。eスポーツは正式な国体種目でない。しかし、eスポーツが文化プログラムの1種目として決定されたことで、eスポーツを部活動として認定する教育機関がでてくる可能性がある。実際に、HUFFPOSTの日本版(2019.3)によると愛知県の城北つばさ高校などの一部の定時制の高校ではeスポーツの部活動化が進んでいる。 eスポーツを学生間に普及するメリットとしては、体格・年齢・性別に関係なく誰でも参加可能だという点やeスポーツの部活動が存在すれば運動が苦手な学生でも学校に行く意欲が促進される可能性がある点、部活動に取り組む過程でメディアリテラシーやネットマナーを学ぶことができる点などがある。しかし、eスポーツの部活動にはデメリットもある。それが、eスポーツ部とは無関係の人たちの印象だ。eスポーツ部に所属している学生が部活動をしているところを他の部活動に所属している学生や保護者目線で見ると、遊んでいるように見えてしまう可能性がある。また、eスポーツ部に所属している子供は、保護者の「ゲームばかりするな」という注意に対して、「部活動の練習をしている」と正当化してしまう可能性がある(本当に部活動の練習をしている学生を除く)。また、野球部やサッカー部などの従来の運動部からすると、eスポーツ部は遊んでいるようにしか見えず、同じ部活動として受け入れられない可能性が高い。 このように、eスポーツの普及が進む一方でeスポーツにはデメリットもある。この2つの側面がある中で、本稿では、「eスポーツを正式な部活動として導入するべきか」を検証することを目的とする。 具体的には、アンケートとヒアリング調査を用いる。アンケートでは、大学生懸賞論文集第37号1.はじめに

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