学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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64動導入に対して、松山北「学校の教育活動とは異なる領域である。」、伊予「全校生徒から集めた部費を使用してまで、部活動として成り立たせる必要はないと感じる。また健康面に被害がないとは言い切れない。」と回答している。また、「eスポーツはスポーツと呼べるか」という質問に対しては、両校ともに「スポーツとは呼べない」と答えており、松山北は「eスポーツはあくまでゲーム、すなわち娯楽であり、体を使って競技の練習をしているスポーツとは全く違う」と続けた。 ここで、「スポーツの本来の意味」について触れておきたい。SPORTの語源について、渡辺(2001)は(以下、引用)“『現在のSPORTの言葉は英語に由来するものであるが語源をたどれば古代ローマで用いられたラテン語のdeportareであり、接頭語のde(away)とportare(carry)の合成語であることがわかる。もともとこの言葉の意味するところは「あるものを運ぶ」「あるものをある場所から他の場所へ移す」ことであり、その後「あるもの」が不安や心配事へとかわり、不安や心配事を「運び去る」であり、すなわちそれは気散じ、気晴らし→楽しむ、遊ぶへと変化していった』”(引用終わり)と示しており、(以下、引用)“『学校スポーツに見られる勝利至上主義は本来のスポーツの意味合いからは脱却していると言わざるを得ない』”(引用終わり)と続けている。つまり端的に言えば娯楽=スポーツであり、「eスポーツはゲーム、すなわち娯楽であってスポーツではない」という松山北の意見は全くの誤りである。 次に部活動の意義について着目する。中学校学習指導要領(平成29年告示)によると、部活動の位置づけについて(以下、引用)“『生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するもの』”(引用終わり)と記載されており、また文部科学省の『我が国の文教施策』では、運動部活動について(以下、引用)“『運動部活動は、学校教育活動の一環として、スポーツに興味と関心を持つ同好の児童生徒が、教員等の指導の下に、自発的・自主的にスポーツを行うものであり、より高い水準の技能や記録に挑戦する中で、スポーツの楽しさや喜びを味わい、学校生活に豊かさをもたらす意義を有している』”(引用終わり)としている。以学生懸賞論文集第37号

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