学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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66職務怠慢に他ならない。「生徒を社会に貢献できる人材に育て上げること」を教育目標として掲げるのであれば、自身の先入観によって教育の幅を制限し、生徒の視野を狭めるような行為はその理念と大きく矛盾していると言わざるを得ない。 アンケート調査によると、eスポーツの部活動導入に対して学生・親世代ともに肯定的な意見が多かった。また回帰分析においてゲームのプレイ時間とGPAの間に有意な関係は見られなかった。以上の結果と学習指導要領の部活動に関する記述から、私たちは「eスポーツを部活動として導入してもよい」と考えた。 しかし今回の調査を通して、学生や親、また教師が抱いている「スポーツ」のイメージと、「スポーツ」という言葉が持つ本来の意味とが大きく食い違っていることが分かった。 また、実際に教育の現場に立つ教師の部活動に対する認識と、文部科学省が示す部活動の在り方との間にも大きな食い違いが見られた。 今回の調査における問題点としては、次の二点が挙げられる。まず一つ目は、松山大学に通う学生の一部と松山城ロープウェイ乗り場に訪れた観光客の方を対象にアンケートを実施したため、サンプルの範囲が非常に限られたものとなったことである。次に二つ目は、ヒアリング調査を愛媛県内の高校のうちわずか2校に対してのみ行い、実際にeスポーツ部が導入されている県外の学校に対して実施できなかったため、eスポーツに対する学校視点からの意見が偏ったものとなってしまったことである。 現在国際社会ではeスポーツをオリンピック競技として導入する運びとなっており、日本においてもeスポーツは国体競技となった。海外の国々と比較すると多少遅れてはいるものの、eスポーツは文化として次第に日本国内に浸透していく。国際社会に取り残されないようにするためには、前時代的な固定観念を捨て、柔軟な思想を持ち、それまでには考えられなかったような文化も受学生懸賞論文集第37号7.まとめ

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