学生懸賞論文集第37号2019(令和元)年度
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4   定義については、鳥居(1994)から引用している。5   他大学の学生を分析に含めると、カリキュラム・講義の難易度が全く違うため、実質的なGPAの比84較は不可能であると考えられる果、能力・スキル面(全10項目)として、9割以上の学生が「自分の考えを口頭でわかりやすく伝えること」「自分なりの考えをまとめられること」「経験から得た気付きを考えにまとめて話せること」を重要である(※とても重要、まあ重要の合計割合)と挙げている。それに対し、「学業成績がすぐれていること」を挙げた学生は3割強で、全10項目の内、最も重要ではないと回答されている。以上の結果より、学業成績を重視している大学4年次生は少ないことが明らかになった。 2⑴、⑵より、92.2%の大学がGPAを導入しており、GPAは広く一般に普及している学業成績の指標であると考えられる。また、80%以上の大学がGPAによる経済支援(授業料減免)を行っていることから、GPAは単なる成績評価の指標ではなく、経済支援にも活用されていることが分かる。しかし、各授業科目間の成績評価基準の平準化は図られておらず、GPAを信用できる指標とみなすには厳しい現状がある。 また、「学業成績」は採用する企業側、採用される新卒側ともに重視していないことが明らかになった。以上の事実を踏まえ、本稿では、1で立てた「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」という仮説より、「大学3年次まで勉学に励むことが、就職満足度に影響を与えるのか」を明らかにする。 「GPAが高い学生ほど就職満足度が高い」という仮説を検証するために、原因と結果の関係を法則性としてとらえるための統計的方法である「回帰分析[4]」を行う。ただし、他大学の学生がいると分析が複雑になってしまう[5]ため、アンケート対象を松山大学経済学部4年次生とすることで単純化し、GPAの比較を可能とした。アンケート対象を限定し、アンケートを実施後、被説学生懸賞論文集第37号3.仮定と分析方法

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