松山大学(学生懸賞論文集)第38号
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5   データから大都市圏は除いた。大都市圏は、人口の流出入が医療費助成制度以外の要因で大きく動7院の医療費が全額助成されているということになる⁵。 まず一つ目の乳幼児の実施率において、乳幼児の全国平均実施率は68.64%であり、全体の約7割とかなり広く行われていることが分かった。実施率100%を満たしているのは、およそ半分の20県にも上る。また北関東エリアや東北エリア、中四国エリアは比較的高い数字が出ている県が多い。全国平均を超えているところは26県であり、乳幼児に対する医療費助成制度がかなり広がりを見せていることがわかる。逆に、全く実施していない自治体は新潟県、茨城県、長野県、鳥取県、長崎県の5県であり、全国でも実施している自治体とそうでない自治体で大きな差があることも分かった。二つ目の小学校卒業までの全国平均実施率は55.79%であり、乳幼児よりも12.85%減少している。実施率100%を満たしているのは乳幼児の場合の半分の10県であり、乳幼児と比べ大きく減ったが、全国平均を越えているところは24県であった。全体的に乳幼児と比較するとやはり実施率は減少している。三つ目の中学校卒業までの全国平均実施率は53.11%であり、小学校卒業までの全国平均より2.68%減少している。助成範囲の拡大は、乳幼児から小学校卒業までと中学校卒業までを同時に行う場合が多いのではないかと思われる。実施率100%を満たしているのは7県で、すべて東日本に位置する県のみとなっている。全国平均を越えているところは24県であり、全国平均を越えている道県の数値は対象年齢が拡大されるにつれ減少している。最後に四つ目の高校卒業までの全国平均実施率は14.75%であり、中学校卒業までの実施率と比べると大幅に減っている。また、実施していても10%にも満たない所が数多くあり、全く実施されていない県はほぼ半分の20県に上る。医療費の全額助成の範囲を高校卒業まで拡大している自治体はかなり少ないことが分かった。実施率80%を超えているのは石川県と福島県のみで、福島県においては100%を達成している。福島県の医療費助成制度の充実ぶりがうかがえる。また、中学校卒業までの実施率が高い道県ほど高校卒業まで対象範囲を拡大して制度を実施している自治体が多いことも分かった。いている可能性があると考えた。子ども医療費無償化は少子化の進行を止めることができるのか

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