松山大学(学生懸賞論文集)第38号
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12般診療所数、1万人当たり医師数を説明変数とした。(3)のモデルでは、(1)と(2)のモデルにおける説明変数から、人口と一般診療所数を除いたものを用いた。出生率を従属変数とした(4)のモデルでは、子どもを育てやすい自治体の環境要因として、一般診療所数、1万人当たり医師数、幼稚園数、保育園数、小学校数、中学校数を用いた。また、各モデルにおけるu、v、λは、それぞれ誤差項で、自治体間で変動、時間を通して変動、自治体間と時間を通して変動する。パネルデータでの推定モデル(1)、(2)、(3)、(4)に対して、ハウスマン検定を実施したところ、いずれのモデルも帰無仮説が棄却されたため、固定効果モデルで推定を行った。また、不均一分散を調整するためにWhiteの分散共分散行列を用いて推定した。 本研究の焦点は、それぞれのモデルにおける推定パラメータβである。モデル(1)とモデル(2)、モデル(3)において、医療費無償化の導入が、その自治体の人口に与える影響を、推定パラメータβによって確認することができる。医療費無償化は、子どもの健康増進と医療費の節約などが期待されるため、無償化を行っている自治体からの人口流出が抑制されると予想できる。また、医療費無償化が導入されていない自治体から、移住してくるインセンティブになり得ると予想される。そのため、医療費無償化が導入された場合、人口の増加要因になると考えられる。そのため、モデル(1)、(2)、(3)の推定パラメータベータは、それぞれ「マイナス」、「プラス」、「プラス」になると予想できる。さらに、医療費無償化は、子育て世帯の経済的負担も軽減してくれるため、未導入の自治体と比べて出生率にも正の影響があるのではないかと予想される。そのため、モデル(4)の推定パラメータは「プラス」になると考えられる。次章では、これらの仮説を統計的に検証する。学生懸賞論文集第38号第4章 推定結果 表2は、推定モデル(1)、(2)、(3)の結果である。それぞれ推定パラメータ、標準誤差、p値が示されている。それぞれのモデルの結果について見ていく。

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