松山大学(学生懸賞論文集)第38号
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21<講 評>論    題:子ども医療費無償化は少子化の進行を止めることができるのか論    評:A:論文の形式 1.構成力 本論文では、対象とする問題は何かを簡潔に説明し、 その問題に対して、どのような手法により、 どう問題を解いたのか具体的に書かれている。節立て、パラグラフ分けも適切になされており、当該論文の構成力はとても優れている。 2.文章表現力 誤字・脱字も極めて少なく、文章表現の適切さは高い水準であり、大学院レベルの文章表現力である。 3.準拠性 文献にある定義を使う場合は引用先を明示するなど、アカデミックな文章作成をする能力が備わっている上、学問の面白さを著者は理解していることがうかがわれる。B:論文の内容 1.テーマの設定 子どもの医療費助成事業は、子どもの保健対策の充実及び保護者の経済的負担の軽減等、子育て支援の観点から、地方単独事業として実施される。本論文は、その内容の違いに焦点を当て、人口流出、人口流入、出生率にどのような影響を与えるのかデータから検証している。また、この論文ではいくつかの事例を取り上げているのではなく、600を超える全国の自治体の状態から制度の有用性を評価しようと試みており、先行研究と比べてもより困難な、確度の高い検証に挑戦している。これらの点から、本論文は社会に対しても十分に貢献するものとなっている。子ども医療費無償化は少子化の進行を止めることができるのか

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