松山大学(学生懸賞論文集)第38号
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26 近年、外国において水道水による健康被害が問題視される中、日本は安全性だけでなくおいしさも重視した水道水の水質を保っている。しかし、水道水は世界でもトップクラスの厳しい水質検査を実施しているにもかかわらず、ミネラルウォーターの消費量の増加や、家庭でのウォーターサーバーの普及などからも推察できるように、そのまま飲料水として飲む人は少なくなっているのが現状である。さらに、日本は高い水質基準を保つために多くの技術とお金を費やしているため、水道代は世界でも上位に位置している。そこで私たちは、水道水を飲む人が少ない現状と、国が考える水道水の理想像との間に矛盾を感じ、本研究のテーマを選択するに至った。 本研究の構成としては、まず現状分析を行い、政府が考える水道の理想像や、現在の水質基準に至るまでの改正経緯、現在の水質基準の項目を詳述し、さらに他国と比較することで、日本における水道水質の現状を説明する。また、ミネラルウォーターよりも水道水のほうが厳しい検査基準が設定されているにもかかわらず、ミネラルウォーターの消費量が年々増加している現実を紹介する。その後、水道管の老朽化や水道料金収入が減少していることなどから考えられる水道事業が抱える課題を述べ、水道代が今後さらに値上がりする可能性を示した。そして、水道水の水質基準の現状やミネラルウォーターの消費量の増加、水道事業が抱える課題などから考えられる仮説を立てた。その後、本研究の内容と類似した先行研究と、私たちが立てた仮説を検証するために用いる分析手法と同様の手法を用いた先行研究を引用し、参考とした。次いで、仮説を検証するために水道水や水道代に関する認識や水道水が仮に飲めなくなった時に現在の水道水の品質に戻すための支払意思額を問うアンケートを実施し、CVMと呼ばれる手法を用いて分析を行った。そして、アンケート結果に基づいて回帰分析を行い、仮説が立証されているか考察した。最後に、本研究を通しての結論と、本研究を振り返っての課題点をあげ、まとめとした。学生懸賞論文集第38号1、はじめに

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