松山大学(学生懸賞論文集)第38号
35/93

28ていたが、当時約2千万人もの国民が水道水に対し異臭を感じたことや、河川から微量ながらも化学物質が検出されるようになったことから、平成4年に化学物質を中心に大幅に項目を追加し、基準値の見直しを行った結果、これまでの26項目から46項目へと検査項目が増加した。 そこから約10年が経過した平成15年に、新たな化学物質による問題が提起されていることや、WHOにおいても飲料水水質ガイドラインを10年ぶりに全面的に改訂すべく作業が進められていることなどから、水道水の水質基準の大幅な改定が行われ、検査項目は50項目へと増加した。 今現在でも少しずつ改正されており、直近では令和2年4月1日に改正され、その項目数は51項目となっている。 このように改正を重ねてきた水道水の水質基準だが、水道水の検査項目として規定されているのは水質基準だけではない。水質基準は、水道事業者に遵守義務、検査義務があり、基準は省令によって規定されているが、それ以外にも水質管理目標設定項目や要検討項目というものがある。 水質管理目標設定項目では、評価値が暫定で、検出レベルは高くないものの注意喚起すべき26の項目が定められており、水道事業者は水質基準に準じた検査の実施に努め、水質管理に活用すべきとされている。 要検討項目では、毒性評価が定まらず、浄水中存在量が不明な47項目について、情報や知見を収集すべきと定められている。 遵守すべきとされている水質基準とそれ以外の目標設定項目や要検討項目を合わせると、全部で100項目以上の基準が設定されている。 水道水は、浄水場などの公共施設において数多くの過程を経て私たち需要者に給水されているが、その過程の中で水質検査が行われるのは需要者に給水される直前である。さらに、図1のように水質検査が行われる頻度も細かく決められており、特に色・匂い・残留塩素については1日に1回以上検査されており、そのほかの項目においても、毎月または3か月に1回は検査されている。このことからも、いかに水質検査が多くの過程の中で重要視されているかが分かる。学生懸賞論文集第38号

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る