松山大学(学生懸賞論文集)第38号
40/93

33【分析方法】 本研究では、CVM(仮想市場評価法)を用いてアンケート結果を分析していく。CVMとは、アンケート調査を用いて人々に支払い意思額(WTP)等を尋ねることであり、市場で取引されていない財(効果)の価値を金額として評価し、価格のついていないものに価格をつけるという手法である。この方法は、水資源保全などの利用価値だけでなく、野生動物保護などの非利用価値も評価できる。 支払い意思額(WTP)と受入意思額(WTA)があり、環境悪化のケースの場合、支払意思額はその環境の悪化を避けるために最大限支払ってもよいと思う金額のことであり、受入意思額はその環境悪化を受け入れる代わりに最低限補償して欲しいと思う金額のことである。本研究では、支払意思額の考え方を用いてアンケートを作成した。響しており、次いで「安全性」、「価格」の順であった。水道水の水質に関してはカルキ臭の影響が大きく、有害微生物などの影響は小さかった。水道事業体は安全な水道水の供給を目標とした水質管理が実施されており、塩素消毒が日本では義務付けられている。しかし、水道水の飲用水に対する評価を改善するためには水道水の水質管理に加え、異臭味の原因であるカルキ臭を改善していくことが必要だとわかった。 これらの先行研究から、水道水は飲用水として「おいしさ」を求められているが、安全に届けるために必ず塩素で消毒される。そのため、「安全性」と「おいしさ」は取って代わるものであり、2つを同時に改善するのは難しい。そうしたことから、私たちは、水道水をそもそも直接飲んでいる人は少ないと考えられたため、「おいしさ」を追求する必要はなく、身体に害がない程度に品質を下げて水道代を安くした方が合理的なのではないかと推測した。水道水は飲める必要があるのか5、アンケートデータ

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る