松山大学(学生懸賞論文集)第38号
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43であれば水質を下げて水道代を安くした方がいいのではないかという仮説は成り立たないと思われる。その要因としては、水質検査を非常に厳しく行い、水道水の安全性が高いという現状に対する認知度が低く、今現在の水質でも不安を感じている人が多かったため、現在の水質で不安を感じているのであれば、今よりさらに水質を下げてまで水道代を安くしたいと思っている人が少なかったことがあげられる。 一方で、「水道代の値段をどう思っているか」に関しては支払意思額に関係しており、水道代の値段を高いと思っているほど支払意思額を低くしているため、水道代の値段に対する認識が支払意思額に影響を与えているといえる。また、「性別」も支払意思額に関係していることがわかった。男性よりも女性の方が低い値を提示しており、女性の方が家計を管理している人が多いため、今の水道代を高いと思っている人が多いと思われる。 他の「年齢」「住まい」「水道水の値段の把握」の要素は支払意思額に影響しないことが分かった。「住まい」は自宅の選択肢の中に実家暮らしや、二人暮らし、持ち家などの幅広い回答を含めて分析したため、正確な分析ができなかった可能性がある。 また、年代別に分けて回帰分析をしてみたところ、10代、20代の回帰分析は水道代を高いと思っている人ほど、支払意思額を低くしていることが分かったが、30代以上の回帰分析では有意ではなかったため、支払意思額に影響を与えているものがなかった。原因としてデータの偏りが挙げられる。学生のデータが多かったので20代のデータは多く得られたが、30代以上はデータが少なく、まとめて回帰分析をすることになったため正確に分析することができなかった。 今の水道代は高いと思っている人が多いが、水道水を直接飲まなくても安くしてまで水道水の品質は下げてほしくないと思っている人が多いと考える。理由として水道水は普段の生活で多く利用されていることがあげられる。水道水を直接は飲まなくても煮沸して飲んだり、食器を洗ったり、洗濯で使用したりするなど日々の私たちの生活には欠かせないものである。そのため、水道水の品質を下げた際に身体に害はなくても不衛生だと感じる人が多いのではないか。水道水は飲める必要があるのか

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