松山大学(学生懸賞論文集)第38号
51/93

44 したがって、水道代の値段が高くても他国と比べて水質が良い日本だからこそ、水質は下げずに維持していくことが日本の良い面としてアピールすることができ、私たちの生活の満足度に良い影響を与える のではないかと考えた。 しかし、現状分析にあるように今後も水道代が上がる可能性がある。現在の水道代でも高いと感じている人が多いため、さらに上がるとまた結果は変わってくるのではないかと予測する。 アンケートデータの結果に基づいて回帰分析を行った結果、実際水道水を飲んでいる人は少なかったが、「水道水を飲む頻度」と「水質が下がったら現在の水質に戻すためにいくら払ってもよいかというWTP(支払意思額)」が無関係であることがわかった。これは、水道水を直接飲まなくても、我々の生活には欠かせないものであり、品質を下げた際の身体への影響を考えた人や、害はなくても衛生的に嫌だと感じた人が多いということである。つまり、直接飲まないからと言って、品質を下げて水道代を安くすればいいというわけではないことがわかった。 本研究の課題は、主に3つある。1つ目は、水道水に対する満足度の調査である。アンケート内ではこの満足度の回答を任意にした。そのため、無回答の数も多いことから、ほかの質問と照らし合わせた正確な分析は困難だと判断し、水道水に対する満足度は分析に使用していない。今のままで満足しているのであれば、無理に水道代を下げて品質を落とす必要はないということになる。そういったことを考慮すれば、任意ではなく、必須回答にすべきであったと考えられる。 2つ目は、アンケートの質問項目についてである。今回のアンケートでは、回答者に「年収」を聞いていない。我々は当初、あまり必要ないと感じ項目に加えなかった。しかし、所得によってお金や物の価値の感じ方も変わると考える。例えば、年収の高い人は「水道代が高くても今の品質を保ちたい」と感じるかもしれない。逆に年収の低い人は「水道代を安くするなら品質が下がって学生懸賞論文集第38号7、まとめ

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る