松山大学(学生懸賞論文集)第38号
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52WTP(支払意思額)を尋ねる「もし、水道水が飲めなくなったとします(煮沸して飲めない水質ですが、健康被害はないとします)現在の水質まで戻すために月にいくら払いますか」という設問は、本研究の肝となる設問であるにもかかわらず、質問の意味が曖昧で、回答者の正確な回答を得られなかった可能性が否定できない。C:総括 先行研究を渉猟したリサーチクエスチョンの導出から、アンケート調査の設計・実施など、執筆者の意欲を十分に感じさせる論文だと評価できる。 ただし、検証の水準や分析結果の解釈・考察の部分には未熟な部分があるように思われた。また、日本の水道水政策についてより詳細な言及があった方が良かったと感じた。アンケートの設問設計にもう少し工夫があれば、さらに興味深い結果が導き出せたのではないだろうか。 なお、44〜45ページには年収を尋ねるべきであったとの反省が記述されていた。しかし、年収は重要な個人情報であるため、年収を聞くことでアンケートの回収率が下がることもある点には留意されたい。 最後に、著者たちの論文は、研究論文としては、まだまだ改善する余地が散見されるが、独自性のある興味深いテーマであるため、今後の研究の拡張に期待したい。学生懸賞論文集第38号

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