松山大学(学生懸賞論文集)第38号
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82会全体で考えれば環境負荷は小さくなるはずである。また、ネット店舗を利用すれば利用者の移動による金銭的な費用が削減できるため、これも消費者の厚生を高めると考えられる。さらに、ネット店舗は実店舗よりも安く購入できることが多いため、消費者にとってこれもメリットとなる。本研究は、このような購入形態による違いを考慮せずに、購入の失敗だけに着目している点が少し残念である。今後の研究の拡張に期待したい。 3.論証水準 本研究は、研究背景から仮説を設定し、データを用いて検証するという一般的な実証研究のスタイルである。図やグラフを用いた説明は非常に分かりやすく、研究背景や現状がよく分かる表記になっていた。しかしながら、データのサンプリングや回帰分析には、以下のように少し改善の余地があるように思う。<サンプリングと調査データ>・ どのようなサンプリング法か記載する必要がある(ランダムやスノーボールなど)。・ LineやTwitterなどとあるが、それぞれでどのように対象者を募ったか。・調査期間はいつからいつまでだったかを記す。・ 第2章の結果と比較をして、どのような偏りがあり、それにより結果にどのように影響しそうかを記述する。<重回帰分析>・サンプルサイズを記す。・モデルの適合性を示すため決定係数(R2)を記す。・偏回帰係数は標準化されているかどうか明記する。・表2と表5は同じ被説明変数なので、分ける必要はない。・表2と表5にも属性(年齢、性別、所得)を入れてコントロールする。   筆者の専門分野および周辺領域の学術論文をみて、多変量解析を用いた結果の表記方法を参照した方がよいだろう。学生懸賞論文集第38号

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