松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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週5日40時間勤務はもう古い?副業時代の働き方97 グラフから、希望週間就業時間は、40~48時間の階級が全体の42.0%と最も高かった。先述の通り、実際の勤務時間は週40時間であるが、40時間以下で働きたい人は全体の46.6%。40時間以上働きたい人は53.4%とほぼ同数であった。本グラフは、「本業のほか副業・内職・家業の手伝い・臨時の仕事・アルバイトなどをした時間もすべて含まれる」(総務省, 2016)結果である。このことから、全体の半数以上(53.4%)の人が週40時間を超えて働きたいことがわかった。第1節 先行研究① 本稿の先行研究として、2つの研究を取り上げる。 1つ目は、「柔軟な働き方は賃金をどう変化させるか(森川正之、2020)」、2つ目は、「日本の長時間労働―国際比較と研究課題(小倉一哉、2008)」である。 まず、1つ目の「柔軟な働き方は賃金をどう変化させるか(森川、2020)」(82-90頁)について述べる。 この研究では、「柔軟な働き方」を、「働く時間の柔軟性」と「働く場所の柔軟性」の2つに定義し、柔軟な働き方と賃金の関係について議論している。(82頁) 「働く時間の柔軟性」の例として、筆者は短時間労働やフレックスタイム、時差出勤などを挙げている。また、「働く場所の柔軟性」の例としては、勤務地の選択やテレワーク、転勤の有無などを挙げている。特に、近年、新型コロナウイルスの流行により、在宅勤務が推進されている。筆者は、人と人との接触を削るために拡大した在宅勤務が、「働く時間の柔軟性」と「働く場所の柔軟性」に関連していることに注目している。(82頁) 筆者は、賃金と柔軟な働き方の関係について、「日本における柔軟な働き方の現状」、「柔軟な働き方と生産性-生産性と賃金の均衡」、「柔軟な働き方と補償賃金」の3つに分けて、議論している。(82頁)第3章 先行研究

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