松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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バイオマス資源の利活用がもたらす循環型社会の在り方-住民協力の重要性-5⑵ 家庭系食品廃棄物の利活用 以下では、バイオマス資源の中でも近年その利活用が特に問題視されている家庭系食品廃棄物の現状について検討する。 図表2-2は、2008~2018年にかけての食品廃棄物の量と利用率の推移について示したものである。これをもとに家庭系食品廃棄物の現状について検討していく。図表2-2によれば、2008年には家庭系食品廃棄物の利用率は5.13%となっており、その後その割合は微増しているが、2016年までは6%程度にとどまっていることがわかる。これをうけて、2016年に政府は「バイオマス活用推進基本計画」を発表し、家庭系食品廃棄物の利用率を高める方針を打ち出した(農林水産省, 2016)。しかし、図表2-2からわかるように、その後も利用率は7%程度にとどまっており、十分な利活用がされているとは言えない状況である。 家庭系食品廃棄物の利用率が低いことはどのような点で問題なのであろうか。家庭系食品廃棄物は各家庭で分別され、主に発電・熱利用される場合と、肥料として利用される場合がある。現在、多くの自治体では家庭系食品廃棄物を可燃ごみとして収集している。京都市の可燃ごみの内訳を例として見てみると、約4割を家庭系食品廃棄物が占めている(京都市食品ロスゼロプロジェクトHP)。しかし、家庭系食品廃棄物は水分を多く含んでおり、可燃ごみと一緒に焼却処理を行うとコストが増加してしまい大変非効率である。近年の日本で図表2-2 食品廃棄物の量と利用率出所:環境省HP:「食品リサイクル関連|食品ロスの削減・食品廃棄物等の発生抑制(食品廃棄物等の利用状況(概念図)(平成20年度~平成30年度)」より作成。(https://www.env.go.jp/recycle/food/post_5.html 、閲覧日2021年10月5日)

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