松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号6はごみの減量化・再生利用の促進に力を入れて取り組んでおり、年々ごみの排出量は減少している。そのため家庭系食品廃棄物は、焼却するのではなく、資源として利用することが必要である。家庭系食品廃棄物を利活用することは、処理負担金の削減、環境問題の対策をもたらす。他にも、家庭系食品廃棄物から生成された肥料から野菜を生産することが可能となる。これにより有機栽培、特別栽培や地産地消などの食育を促進することができる。 このように、家庭系食品廃棄物の利用率を高めることはさまざまなメリットをもたらしてくれる。しかしその一方で、図表2-2でみたように、現状では、家庭系食品廃棄物はそのほとんどが焼却に回されてしまい、バイオマス資源として十分に利活用されていないことが課題となっている。このようにバイオマス資源の利活用が不十分な状態では、地域内の資源循環も不十分なままであり、本来バイオマス資源の循環によってもたらされるはずの地域への良い効果も望めない。この問題を解決するためには何が必要なのかを、様々な側面から分析し、明らかにする必要があるといえる。 本章では、家庭系食品廃棄物の利活用に関する先行研究について整理する。家庭系食品廃棄物の利活用に関する書籍や論文等の調査を行った結果、家庭系食品廃棄物の利活用に関する先行研究は以下の2つに大別できる。 第1は、家庭系食品廃棄物の利活用に取り組む地域の事例をとりあげ、事業性の検証を行った研究である。代表的なものとしては、前川らの研究や岡山の研究などがある。前川らの研究では、公共施設マネジメント研究の視点で、ごみ焼却施設の統廃合の意義を紹介している(前川, 2020)。岡山の研究では、事業性の確保によって生ごみ資源化事業は継続すると位置づけている(岡山, 2013)。 第2は、住民協力の重要性を指摘した研究である。代表的なものとしては、五十嵐・北田の研究や竹野・山口の研究などがある。五十嵐・北田の研究では、資源の循環的利用の促進には、地域住民の認知と協力が不可欠であると3.先行研究に関する調査及び本論文の課題設定

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