松山大学(学生懸賞論文集)第39号
2/126

 この度2021年度松山大学学生懸賞論文集を刊行いたします。学生懸賞論文の目的は、『松山大学の学生(大学院生を除く。)及び松山短期大学の学生に論文執筆の機会を提供し、もって、学生の研究意欲の向上を図ることを目的とする。』と定めており、本学学生の研究への意欲や探究心を刺激すると同時に、本学の研究教育成果を広く社会に公表・還元する制度であります。この学生懸賞論文の制度は、1975年に始まったとても歴史のある制度で、今年度で47回目となります。 昨年度に引き続き、今年度も新型コロナウイルス感染症によって、多くの人々の日常生活がさまざまな方面から行動を制限され不便を強いられました。本学においても、対面授業とオンライン授業、またはその中間のハイブリッド授業など、複数の授業形態が混在することとなり、学生だけではなく教職員にとっても大変な1年でした。こうした状況の中でも、論集を例年と変わらずに刊行できることは、大きな喜びであります。 学生懸賞論文の一次審査は執筆要領に従って書かれているかどうか、形式的な側面について審査します。本年度からは、教育的観点からこの一次審査の結果を応募者に伝達し、適切な修正を求めることとしました。二次審査においては、当該論文の内容に近い研究をしている教員2名が匿名で厳正な審査を行います。このような厳しい審査を通過した4篇の論文が本論文集に掲載されております。いずれも時世を反映した興味深いテーマが取り上げられています。 金賞は2篇の論文が選ばれました。1篇目は経済学部の河野華緒さん(他5名)の論文「バイオマス資源の利活用がもたらす循環型社会の在り方―住民協力の重要性―」です。この論文ではサステナブル社会の構築に向け、家庭系食品廃棄物がバイオマス事業として有効に利活用できるかどうかに注目し、独自のアンケート調査とインタビュー調査を併用した分析を試みています。特に、食品廃棄物の活用には住民協力が必要不可欠だとして、どのようにして協力を促せるかを検証しています。分析の結果、住民側には「利用方法(食品廃棄物の活用の仕方)」が、自治体側には「利用広報(食品廃棄物の製品の重要性についての宣伝や広告)」がキーであると結論づけています。昨今のSDGsの高ま2021(令和3)年度 学生懸賞論文集の発刊にあたって松山大学総合研究所 所長 岩田 和之

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る