松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号16 図表5-6の3つの項目(環境意識、収集広報、利用方法)の係数の有意確率を表すp‐値をみてみると、どの項目も0.05以下であることから、すべての項目が成果の変数に対して「関係性がある」といえる。 最後に、図表5-6の係数をみていく。図表5-6の3つの項目(環境意識、収集広報、利用方法)は、どの項目も成果に対してプラスの影響を与えているという結果になるが、その中でも最も数値が大きい項目は、「利用方法」であることがわかった。この結果、5%水準を満たし、尚且つ成果に最も大きく影響を与える「利用方法」が、最も家庭系食品廃棄物の利活用に対する住民協力を促進させる要因であるということがわかった。 以上を踏まえて、分析結果の解釈をおこなう。分析の結果、自治体側では「利用広報」が、住民側では「利用方法」が、バイオマス活動への住民協力を促進させる要因であるということが明らかになった。これは、自治体側では「利用広報」というメニューを、住民側では「利用方法」というメニューを用いた政策を実行することが最も住民協力を促進させることにつながる、ということを示している。 前節の定量分析により、自治体側は利用広報、住民側では利用方法が住民協力度・住民協力意欲に最も影響を与えるということが明らかとなった。以下では、これらの分析の結果をもとに考察をおこなう。 すでに検討したように、本論文では、近藤・堀・永野の先行研究(近藤, 2012)の指摘に基づき、「分別協力」、「利用協力」、「購買協力」の3つの局面から住民協力を分析した。その結果、自治体、住民ともに「利用協力」の中から住民の協力に最も影響を与える要因が選ばれた。なぜこのような結果になったのであろうか。 まず、自治体側についてみていく。「利用広報」とは家庭系食品廃棄物がその地域でどう活用されているかを自治体が広報するものである。これにより住民に幅広く家庭系食品廃棄物の有用性の認識が広がり、住民の協力が向上すると考えられる。そのため自治体側では「利用広報」が強い影響を与えたと考えられる。 次に、住民側についてみていく。「利用方法」とは自治体の家庭系食品廃棄物の活用の仕方である。住民は自分たちの地域で家庭系食品廃棄物が有効に活

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