松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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バイオマス資源の利活用がもたらす循環型社会の在り方-住民協力の重要性-17用されていると確認することで、家庭系食品廃棄物に関する認識が変わり協力が促進されると考えられる。そのため住民側では「利用方法」が高い影響を与えたと考えられる。⑶ 定性分析 以下では、定性的な分析として、大洲市役所の方にオンラインで実施したインタビュー調査について検討する。ここでは、フィードバック調査をもとにした考察をおこなう。以下の記述は、2021年2021年9月30日に愛媛県大洲市役所商工産業課と市民生活課の方にインタビューした内容に基づいたものである。 分析結果に対する考察をより深めるため、2021年9月30日に愛媛県大洲市役所商工産業課と市民生活課の方に、フィードバックをおこなった。大洲市役所の方々に、今回、住民が「利用方法」、自治体は「利用広報」が協力に最も影響を与える結果になったことをお伝えすると、「適切な結果であることと、現状の住民協力は家庭からでた生ごみを堆肥化して、自家消費をするという各家庭レベルにとどまる」とおっしゃっていた。また、大洲市に住民アンケートを行った際、広報誌がどの世代にも活用されていたことを伝えると、「住民が広報誌や回覧から1番情報を得ているのは理解しているため、今後はそれを使った効果的な広報を検討したい」とおっしゃっていた。 さらに、大洲市の家庭系食品廃棄物を利用して発電に取り組む企業で、原料となるゴミの量が少ないという課題を聞いた。現在、大洲市は家庭系食品廃棄物の分別収集を行っていない。循環型社会を本格的に形成する過程では、一般家庭から排出される生ごみを活用することを視野にいれる必要がある。しかし、現状のままでは住民に負担を強いる家庭系食品廃棄物の分別収集は難しいとのことだった。 以上を踏まえて、今回の分析で効果的な結果が出た「利用協力」について考察する。フィードバックによると、家庭系食品廃棄物の利活用にむけて住民協力を得るためには、まず住民に利用方法を効果的に示すことで分別に対する目的意識を持ってもらうことを1番最初に行う必要があるとのことだった。家庭系食品廃棄物の利用方法を効果的に宣伝する政策を提案することで、より住民の協力を向上させるために住民の意識をかえることが出来ると考えられる。

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