松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号18しかし、実際には利用協力だけでは循環させることはできず、「分別協力」と「購買協力」も併せて上昇させるような提案が必要だと考えられる。 定量分析の結果から、地域内に家庭系食品廃棄物の循環をもたらすための住民協力に最も影響がある要因は、「利用広報」(自治体側)と「利用方法」(住民側)という結果が得られた。すでに検討したように、住民協力が増えることでバイオマス資源を利活用した循環を促進できる可能性が高まる。つまり、家庭系食品廃棄物を利活用した循環を促進させるためには、利用広報(自治体)と利用方法(住民)の2つを同時に満たすような提案をおこなう必要がある。 また、定性分析の結果から、利用方法は住民に求められないことや、住民の目的意識を持つ重要性が明らかになった。これをうけて、本論文では、家庭系食品廃棄物の利活用に関して、住民に自治体のバイオマス計画が地域の特性に応じていると様々な方法で効果的に宣伝する政策提案が必要になると考えた。しかし、実際には利用協力だけでは資源の効果的な循環にはつながらないため、別の協力局面である「分別協力」と「購買協力」も併せて上昇させるような提案が必要だと考えられる。これらを踏まえて、新たな政策提案をおこなう。 これまでの検討を踏まえて、本論文では、「バイオマス認識向上週間をつくる」という政策を新たに提案する。 具体的な実施方法としては、バイオマスの認識向上週間を3か月に1回開催し、各自治体の家庭系食品廃棄物の利活用について広報誌などによる紹介、家庭系食品廃棄物の分別疑似体験イベントの開催、家庭系食品廃棄物から作られた商品の購入の際にポイント増加などをおこなうというものである。広報誌を利用したバイオマス政策の広報という面で利用広報(自治体)の達成、バイオマス認識向上週間におけるポイントの付与という面で利用方法(住民)の達成がなされ、定量分析の結果明らかになった両者の協力要因を踏まえた政策提案であるといえる。6.政策提案

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