松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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バイオマス資源の利活用がもたらす循環型社会の在り方-住民協力の重要性-19 この提案理由として、まず、広報誌については、前章で検討したように、多くの世代・人に見られているという大洲市役所の方の指摘から、バイオマス事業に対して住民の協力人口を増やす目的として活用する。これは、今回実施した住民アンケート調査において、自治体が市町村バイオマス活用推進計画を行っていることを全く知らない・ほとんど知らないと回答した割合が約85%を占めていたため、多くの世代・人に見られている広報誌を活用することが重要であると考えた。 次に、家庭系食品廃棄物の分別疑似体験イベントの開催については、分別イベントに参加することで分別協力をする意義を体験してもらうことが狙いである。 最後に、副産物のポイントについては、今回堆肥事業について考えているが、住民の購買協力が増えることで農家の堆肥の利用協力が増えることが期待される。 以上の取り組みを同時に行うことで、家庭系食品廃棄物の循環を支える住民協力を総合的に高めることにつながり、家庭系食品廃棄物の地域内循環の促進が図られると考えられる。 本論文では、循環型社会形成の促進に関して、近年注目を集めているバイオマス資源の利活用について、住民協力の要因に焦点をあてて検討し、政策提案をおこなった。 バイオマス資源を活用した事業は政府も力を入れており、循環型社会システムへの移行促進や、ごみ焼却率の減少など、様々な効果が期待されている。しかし、政府が力を入れているにも関わらず、近年、家庭系食品廃棄物の利用率には大きな変化が見られていない。こうしたことを受けて、利用率を高めるための新たな政策が必要であるとの問題提起をおこなった。 次に、家庭系食品廃棄物の利活用に関する先行研究を整理したうえで、本論文の課題を設定した。主な先行研究は、事業性の検証と住民協力の重要性に大7.おわりに

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