松山大学(学生懸賞論文集)第39号
3/126

りもあり、バイオマスへの関心は高まっていることから、政策としての費用対効果などのより精緻な分析へとさらなる発展が期待できます。 金賞の2篇目は経済学部の河野百恵さん(他5名)の論文「サテライトオフィスの活用がもたらす地域の可能性-参入数増加の重要性-」です。新型コロナ禍で、多くの人々の働き方が変化しつつあります。その変化のうち、この論文ではサテライトオフィスに注目し、それを普及させるための要因を定量的かつ定性的分析によって明らかにしようとしています。この論文は149もの自治体と166の企業にアンケート調査を行っており、大変な労力を費やしています。集まった調査票に対する分析と、インタビュー調査の結果から、サテライトオフィスを設置する企業の理解と、自治体の情報発信が重要であるとしています。サテライトオフィスの増加が地域課題の解決につながるという前提で分析をしているため、今後はマクロ視点でのサテライトオフィスの有効性の検証が必要となりそうです。 続いて、今年度は銀賞が2篇選ばれています。1篇目は経済学部の西田 渉さん(他1名)の論文「地域再生プラットフォーム-制度設計と政策立案-」です。この論文では農村地域の再生および持続可能性確保に向けたオリジナルな仕組みである「地域再生プラットフォーム」を提案しています。この提案では、大洲市豊茂地区を事例として、同地区でのアンケート調査を用いながら、自らの提案の有用性の議論を試みています。この論文の提案をより有意義なものにするためにも、論文末で述べているように、財源の議論は必要です。今後はこの点への分析も踏まえた検証が期待されます。 最後となる銀賞の2篇目は経済学部の吉松音々さん(他2名)の論文「週5日40時間勤務はもう古い?副業時代の働き方」です。こちらも、昨今の新型コロナ禍で注目を集めている働き方に関する論文となっています。とりわけ、労働日数、労働時間、副業に対する人々の認識を、アンケート調査を用いて金銭的に評価しています。審査員からも指摘がありますが、働き方や副業という大きなテーマを扱っている一方で、これまで蓄積されてきた先行研究の調査が少ないことが今後の改善点として挙げられます。 最後になりますが、学生に適正な研究活動及び研究発表の在り方をご指導くださり、学生の自主的な学びを奨励する本制度にご理解とご協力を頂きました先生方には、心より感謝いたします。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る