松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号28  本論文では、近年、「働き方改革」への関心の高まりやコロナ禍で、テレワークの一種として注目を集めているサテライトオフィスについて、参入数の増加に関わる要因に焦点をあてて検討するものである。  サテライトオフィスとは、「(オフィスの管理主体や活用形態を問わず)都市部の企業等が本拠から離れたところに設置する遠隔勤務のためのオフィスの総称」のことである1。サテライトオフィスの特徴としては、本社から離れたところにオフィスを構えることにあり、その結果として、働く場所を自分自身で選択できる社会の実現につながると期待されている。サテライトオフィスには、都市型、郊外型、地方型の3つのタイプがあるとされ、各地域に適した活用の仕方がある点においても、その重要性が認識されている。では、なぜ今、サテライトオフィスが注目されているのであろうか。以下、具体例を2つあげて説明する。  第1に、厚生労働省がワークライフバランスを向上させるために、働き方改革の一環として、2015年にサテライトオフィスの活用を推進し始めたことがあげられる。厚生労働省は、サテライトオフィスの活用により、職住近接や通勤時間削減、休眠資源の有効活用などが可能となり、組織の活性化や地方創生につながると期待を寄せている2。 第2に、新型コロナウイルス感染拡大の影響である。新型コロナウイルスの影響により働き方の多様化が進んだことで、2019年から2020年までの1年間でテレワークの導入率は20.2%から47.5%に増加した3。今後サテライトオフィスへの需要はより高まると予想されており、さらなる普及が期待されている。 サテライトオフィスが普及するきっかけとなったのが、総務省が2016年に開始した「お試しサテライトオフィス」モデル事業である。これをうけて全国各1.はじめに1  総務省HP:「地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設状況調査結果」(報道資料)(https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei08_02000203.html, 閲覧日2021年10月4日)2  厚生労働省HP:「働き方・休み方改善ポータルサイト」(https://work-holiday.mhlw.go.jp/telework/, 閲覧日2021年10月4日)3  総務省(2021)「令和2年通信利用動向調査の結果(概要)」, 12頁。(https://www.soumu.go.jp/main_content/000756018.pdf, 閲覧日2021年10月4日)

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