松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号42民の理解」(自治体側)と「情報」(企業側)が参入数の増加に最も影響を与える項目であるという結果になった。なぜこのような結果になったのであろうか。 まず、自治体側についてみていく。自治体側が「地域住民の理解」となった理由について考察するため、再びサテライトオフィスに関する先行研究に着目した。先行研究では、地元企業および住民間の交流や連携を促進する仕組みを作ることを通じてサテライトオフィス開設の効果を最大化する必要があることが指摘されていた(荒木・井上2018, 53頁)。このことから、自治体の目的意識として、「地域住民の理解」が参入数の増加に最も影響を与える結果になったと考えられる。 次に、企業側についてみていく。考察にあたって、サテライトオフィスに関する先行研究に着目した。先行研究によれば、サテライトオフィス参入に係るうえで求められることとして、「情報」を具体的に発信する必要があることが指摘されていた13。このことから、企業側のニーズとして、「情報」が企業の参入意欲に最も強い影響を与える結果になったと考えられる。 続いて、フィードバック調査をもとにした考察をおこなう。 分析結果に対する考察をより深めるため、2021年9月30日に徳島県美波町町役場政策推進課の鍛冶様に、2021年10月1日に株式会社あわえ地方創生推進部の吉田様にオンラインにてインタビューをさせていただき、フィードバックをおこなった。 美波町町役場の鍛冶様に、今回、自治体側が「地域住民の理解」がサテライトオフィスの参入数の増加に最も影響を与える結果になったことをお伝えすると、「美波町では、社員と地元住民の交流の場を設けたことで、地元住民の協力体制が生まれたため、「地域住民の理解」が参入数の増加に最も影響を与えるという結果になったのは正しいと思う」とおっしゃっていた14。 また、株式会社あわえの吉田様にも、今回、企業側が「情報」が参入意欲に最も影響を与える結果になったことをお伝えすると、「情報を具体的に提供し13  経済産業省(2021)「地方移転に関する動向調査結果【概要版】」, 15頁。(https://www.kanto.meti.go.jp/press/data/20210421chihoiten_chousa_gaiyouban.pdf, 閲覧日2021年11月5日)14  徳島県美波町町役場政策推進課鍛冶様へのインタビュー, 2021年9月30日。

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