松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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サテライトオフィスの活用がもたらす地域の可能性-参入数増加の重要性-43ている自治体は、基本的に参入数が多いので、妥当な結果であると思う」とおっしゃっていた。さらに、サテライトオフィスを視察した企業の2割程度しか進出していないという課題も合わせて教えていただいた15。この指摘をもとに、2019年度に、お試しサテライトオフィス事業に取り組んでいる自治体を調査したところ、187自治体中、22.5%しか取り組んでいなかったことが明らかになった16。 以上から、サテライトオフィスの参入数を増加させるための政策は、企業が気軽に参入できる体制を広めていく形で実施する必要があるといえる。 定量分析の結果から、サテライトオフィスへの参入数を増加させる要因として、自治体側は「地域住民の理解」、企業側は「情報」であるという結果が得られた。すでに検討したように、サテライトオフィスへの参入数が増加することで、地域課題の解決につながる可能性が高まる。つまりサテライトオフィスへの参入数の増加のためには、「地域住民の理解」(自治体)と「情報」(企業)の2つを同時に満たすような提案をおこなう必要がある。 また、定性分析の結果から、企業が気軽に参入できる体制を広めていく必要があることが明らかになった。これを受けて、本論文では、サテライトオフィスの特徴である、企業が支社を設けることなく、気軽に参入できるという利点と分析結果として出た2つを取り入れることでさらなる参入数の増加につながる政策提案が可能になると考えた。 まず、2章で述べたように、お試しサテライトオフィス事業とは、サテライトオフィスの開設・誘致に向けた具体的な取り組みをおこない、都市から地方への新たなヒトの流れや、地元企業・人材と連携したビジネスの創出に結びつ5.政策提案15  株式会社あわえ地方創生推進部吉田様へのインタビュー, 2021年10月1日。16  総務省(2020)「サテライトオフィス開設状況(令和元年度末時点)」(報道資料:地方公共団体が誘致又は関与したサテライトオフィスの開設状況調査結果)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000713168.pdf, 閲覧日2021年10月4日):総務省HP:「おためしサテライトオフィス」(https://www.soumu.go.jp/satellite-oce/, 閲覧日2021年10月8日)

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