松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号44けることを目的とした事業である。 これまでの検討を踏まえて、本論文では、お試しサテライトオフィス事業に「進出メリット・地域課題・求めている企業などの具体的な情報を企業に向けて市のHP上で発信する」という政策を加え新たな提案とする。ここで、具体的な情報とした「進出メリット・地域課題・求めている企業」は、株式会社あわえ様へのインタビューの際、これらの情報を発信することで参入数が増加したという富山県の成功事例を教えていただいたことをうけて17、これらを本論文の提案に取り入れる。 さらに、本論文では、参入数が増加したその先を見据えた提案についても考える。それは、参入した企業による地域課題の解決である。具体的には、「自治体が選定した地域課題を解決できる企業に限り、サテライトオフィスに参入し事業をおこなう上でかかる費用全般を一定期間免除する」という政策を提案する。地域課題を解決できる企業が参入することで、地域住民の要望が達成され、企業の費用は免除、さらに免除対象を定めることで、自治体の負担も減り、3者にメリットが生じる。その結果として、サテライトオフィスは全国的により拡がっていくと考えられる。 本論文では、近年、「働き方改革」への関心の高まりやコロナ禍で、テレワークの一種として注目を集めているサテライトオフィスについて、参入数の増加に関わる要因に焦点をあてて検討し、政策提案をおこなった。 サテライトオフィスは、現在、政府が力を入れているテレワークの一種であり、各地域に適した活用の仕方があることから、様々な効果が期待されている。しかし、参入企業の少なさや撤退などから、サテライトオフィスの存続が危ぶまれている自治体も存在する。これをうけて、サテライトオフィスの参入数の増加に向けた新たな政策が必要であるとの問題提起をおこなった。6.おわりに17  株式会社あわえ地方創生推進部吉田様へのインタビュー, 2021年10月1日。

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