松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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サテライトオフィスの活用がもたらす地域の可能性-参入数増加の重要性-45サテライトオフィスに関する先行研究では、参入数を増加させる要因については、断片的には指摘がなされているものの、参入数を増加させるために最も重要な項目が何であるのかは明らかになっていない。そこで本論文では、企業の参入数を増加させるための要因を分析することを課題に設定した。 参入数を増加させる要因を分析するために、独自のアンケート調査とインタビュー調査による定量的・定性的分析を行った。重回帰分析の結果、自治体側では「地域住民の理解」、企業側では「情報」が参入数の増加に最も影響を与えることが明らかになった。また、インタビュー調査の結果、参入数を増加させるための政策は、企業が気軽に参入できる体制を広めていく形で実施する必要があることが明らかになった。 以上をふまえ、本論文では、サテライトオフィスへの参入数の増加につながる取り組みとして、参入数の増加と参入した企業による地域課題の解決を同時に進めるために、「自治体が選定した地域課題を解決できる企業に限り、サテライトオフィスに参入し事業をおこなう上でかかる費用全般を一定期間免除する」という政策を新たに提案した。地域課題を解決できる企業が参入することで、地域住民の要望が達成される。また、企業の費用も免除されることで参入の促進が見込まれ、さらに免除対象を定めることで自治体の負担も減り、3者にメリットが生じると考えられる。この政策を実施することで、サテライトオフィスのさらなる普及につながることが期待される。・神田誠司(2018)『神山進化論:人口減少を可能性に変えるまちづくり』学芸出版社。・荒木光二郎・井上郷平(2018)「活況呈する徳島県のサテライトオフィス~課題と可能性~」『徳島経済』(徳島経済研究所), 100号, 49-62頁。(https://www.teri.or.jp/chousa_kenkyu_pdf/2018-100sateraito.pdf, 閲覧日2021年10月30日)・遠藤貴美子(2019)「徳島県におけるサテライトオフィス誘致と地域活性参考文献

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