松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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地域再生プラットフォーム-制度設計と政策立案-65い農村政策の構築―令和2年食料・農業・農村基本計画の具体化に向けて-」, p.9)」のことである。農村RMO推進の背景には、中山間地域等の農村の高齢化・人口減少による農村の生活インフラを含む集落機能低下や、地域コミュニティの担い手不足などの多様な問題への危機感がある。農村RMOには地域コミュニティの維持と農村政策の主体としての期待がされるとともに、当該事業体への人材のマッチングを行うことによる田園回帰などへの受け皿としての機能もある。事業を行う中で、地域資源の最適配分を図り、農山村地域の持続的な運営も目指す。事業体の形態としては、農事組合法人、NPO法人、認可地縁団体など多様なものを想定しているが、現在、策定段階であるため、具体的な形態が確立されているわけではない。また、持続的地域社会の実現に向けて、食糧・再生可能エネルギー・木材等の資源などを地域内生産によって賄う、地域内経済循環の必要性も指摘されている。さらに、田園回帰の動きの受け皿となるため、情報通信環境の整備や、交通・買い物を含めた、生活インフラの確保などの事業を農村RMOが農水省などの関係各所と連携して担うことにも期待が寄せられている。 以上のように、政策としての「農村RMO」は策定段階ではあるものの自給による地域内経済循環を目指す点や、期待される事業内容などの点で地域プラットフォームと類似しているといえるだろう。 この章では、地域再生プラットフォームの制度設計を行う。そのために、モデル地域として取り上げる愛媛県大洲市豊茂地区の現状の整理、2020年に実施したアンケートの分析を行い、豊茂の地域課題・問題を検証する4。その上で、豊茂における地域再生プラットフォームの具体的な制度設計を検討していく。Ⅲ.「地域再生プラットフォーム」の制度設計4  所属するゼミナールでは、大洲市豊茂に住む地域住民の方々の協力のもと、2015年から訪問調査を行っている。調査は2015年、2016年、2020年と計3回実施した。

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