松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号72討する。ミニスーパー豊茂の店舗・移動販売、両方の利用理由に「維持するための買い支え」が多かった。これは、移動手段のない高齢者に対する思いやりや、将来的にサービス利用の必要性が出てきた時のために、サービスの維持が必要だと感じている結果ともとれる。 また、交通面に関して現時点でも交通手段を理由として移動販売を利用する人も一定数いる。現在は車を所有しており生活に不便のない人でも、加齢や健康上の問題から将来的に車の運転ができなくなる可能性は大いにある。車という自由な交通手段がなくなることにより、日常の買い物を始め病院への通院などにも不便を感じる人は増加し、買い物や交通など生活基盤を強固にする意味でも生活インフラへのサポートは欠かせなくなってくる。 2つ目に、耕作放棄地をほとんどの世帯が抱えている状況から、耕作放棄地を始め所有者不明地、空き家等の土地問題を、負債ではなく資源としてどう活用するかということである。耕作面積を見ても零細農家が多く農業が生産力・所得の源泉とはいえない状況であり、もはや「生業」としての農業でなくなってしまっている世帯も多いだろう。しかし、独自の産業や観光資源などのない地域においては、そこにある豊かな自然こそが都会にはない最大の資源である。どのような方法ならば、その資源を地域コミュニティとして最大限に生かすことができ、中心的な産業として農業を再興できるようになるか検討していく。 具体的な事業内容の制度設計を行うに当たって、既存の農村RMOに基づき作成・運用されているアプリケーションの事例を紹介する。 事例①山形県川西町吉島地区「きらりよしじまネットワーク」は、地区の住人全世帯が加入しているNPO法人である。当該法人で使用されているWebアプリケーションが「きらりよしじまネットワーク Webアプリ」である。きらりよしじまネットワークのWebアプリは次の11項目で構成されている。川西町からのおしらせ、自主防災情報、防犯交通安全、おきたまイベント、くらし、児童クラブきらり、吉島小学校、吉島商工会、買い物支援、ご意見箱+生活支援お助けチケットの項目で構成されている。基本的な役割はいわゆる掲示板である。自治体、行政、教育等の分野ごとに分けられている。特徴的なのは「生活支援お助けチケット たすけ愛きらり機能」である。このシステムに関

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