松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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地域再生プラットフォーム-制度設計と政策立案-73わる人は支援会員(ボランティア)・ご利用会員(高齢者等の悩みを抱えている人)に分かれており、中間にきらりよしじまネットワークが存在している。例えば、買い物に行くことが困難な方がいればまず、きらりよしじまネットワークにサービス依頼とチケットの購入を行う。依頼を受けたきらりよしじまネットワークは支援会員に対して支援の依頼を行う。支援会員はチケットの対価としてご利用会員の代わりに買い物に出かける。支援会員は貰ったチケットをきらりよしじまネットワークで精算することで謝礼金を貰う仕組みとなっている。このアプリにより、問題を抱えている人間と人助けをしたい人間をつなぐ事が可能となっている。 事例②5374(ゴミナシ).jpは「いつ、どのゴミが回収されているか把握できない」「ゴミの分別は難しい」という課題を解決するために金沢市で作成されたアプリである。このアプリを作成したのが一般社団法人Code for Kanazawaである。Code for Kanazawaは「コードで、世界をHappyに」を掲げ、ITやデザインの力で市民の生活をより豊かにすることを目標としている。5374.jpによって分別方法を覚えていなくても適切にゴミ出しができるようになった。また、利用者が引越し先でもゴミの分別を調べる手間を省くことも可能となった。このアプリの特徴は非常にシンプルであるため、誰でも使いやすい設計となっている。本アプリのソースコードは公式サイト上で公開されており、各自治体のゴミ収集情報さえあれば誰でも自分の街の5374.jpを作成出来ることもあり、85以上の地域で開発されている。 以上の先行事例を踏まえて、豊茂地区において運用するサービスを検討する。まず、サービス全体の設計で必要となるのはオープンデータ(国、地方公共団体及び事業者が保有する官民データのうち、国民誰もがインターネット等を通じて容易に利用できるようにしたもの)とAPI(プログラムとプログラムをつなぐインターフェース)である。オープンデータとAPIは既に存在しているものを使用することになるため、サービス作成の費用を削減出来る8。 次に細かい機能について説明する。運用するサービスの主な機能は買い物支援機能、農地管理機能、掲示板機能である(図7)。豊茂地区でのアンケート8  行政的な視点からすると市民が地域情報を必要とした際に、問い合わせが減り、業務の改善につながるという側面もある。(福島2018, p76)

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