松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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地域再生プラットフォーム-制度設計と政策立案-77ことには限界性があり、関係人口の本来の意味である「地域とのかかわりを持つこと」に重きを置いた地域再生を論じた。 本稿では、地域再生のための機能体として“地域再生プラットフォーム”を提案した。これは、農山村地域のヒト・モノ・カネ・情報の流動性を高め、グローバリゼーションの流動性を地域内で実現しつつ、それを民主的に運営していくための1つの連帯経済の形である。また、関係人口の増加による高い流動性は地域に、インキュベーター機能、アジール機能、スピンオフ機能の3つの機能をもたらすと考えた。プラットフォームでは、関係人口との多様な関わりと地域住民自身の主体的な取り組みにより、自治会やその他の地域コミュニティの議論を含めた地域の持続可能性を見出していく。主な取り組みの方向性は、「FEC自給」を目指しその上で地域問題・課題の解決に努めることである。このような方向性を念頭に置き、プラットフォーム協同組合主義・シビックテックの概念を用いてボトムアップ型のプラットフォームを構想した。また、具体的な制度設計は愛媛県大洲市豊茂地区をモデル地域に設定し行った。制度設計を行う前提として、豊茂住民を対象に行ったアンケートを分析し、機能体の行う事業の方向性を大きく2つに定めた。買い物や交通問題などの生活インフラのサポートと、生活基盤を強固にするための耕作放棄地を含む土地問題の解決である。制度設計をするにあたっては、既存の農村RMOに基づき作成・運用されているアプリケーションの事例として、山形県のNPO法人きらりよしじまネットワークと、金沢市の5374(ゴミナシ).jpを紹介し、事例を踏まえて豊茂地区において運用するサービスを検討した。サービス全体の設計は、オープンデータとAPIを設計に用いることでサービス作成の費用の削減を目指す。運用するサービスの主な機能は豊茂の現状を加味した方向性にのっとり、買い物支援機能、農地管理機能、掲示板機能の3つとし、各機能の具体的内容も踏み込んで検討した。 最後に本稿の展望について述べる。本稿では、地域再生プラットフォームの方向性として、「FEC自給」を目指しその上で地域問題・課題の解決に努めることを設定し、プラットフォーム協同組合主義・シビックテックの概念を用いてボトムアップ型のプラットフォームを構想し、具体的な制度設計も豊茂地区をモデルに行った。しかし、ミニスーパー豊茂やデマンド型ハイエースのよ

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