松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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地域再生プラットフォーム-制度設計と政策立案-83 3.準拠性 参考・引用文献や資料の提示については水準を満たしている。また、英語文献の読解・引用に積極的に挑戦しているのは評価できる。B:論文の内容 1.テーマの設定 地域内における流動性を生み出す機能体として地域再生プラットホームの仕組みを提案するという問題意識は先行研究には見られないもので、一定の独自性があるものと評価できる。ただ、先行研究を踏まえたうえで、どこにオリジナリティがあるのかという言及が必要である。 2.論証内容 主張には論理の一貫性がある。現状の調査やアンケートに基づき、国内外の研究、国内での事例等を参考に、論理的かつ明確に展開されている。 3.論証水準 論証はやや高い水準にあると認められるが、具体的なアプリケーションの制度設計について更なる検討が必要である。 研究は、高齢者の多い大洲市豊茂地区を対象としているが、アプリケーションを作成することが生活インフラを支える優れたシステムになり得るという論証がやや不足しているように思う。また、アプリケーションにおける農地管理機能については、これまでの事例には見られない独自性のある取組みであるが、現在、地方自治体では既に農地バンクと呼ばれる制度を導入し、農地の貸借等を行っているところも多く、導入している自治体に聞き取り調査などを行ったうえでアプリケーションの制度設計を行えば、より優れたものとなったのではないかと考える。C:総括 論文の形式については、構成力、文章表現力、準拠性のいずれも概ね良好である。論文の内容については、地域再生機能としてのプラットホームの提示という面で、興味深く、独自性のあるものとなっている。今回はプラットホームの制度設計の提案が研究のねらいであるが、今後、制度設計の検証が

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