松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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学生懸賞論文集第39号86 近年、人種や国籍、性自認など、様々な面で少しずつ多様性が認められ始めている。 では働き方はどうだろうか。日本の「1日8時間、週休2日制」という労働規則は、1987年の法改正以降、大きな変化はない。 一方、社会では、女性の社会進出が進み、共働きが一般的になって久しい。内閣府男女共同参画局(2020)の「男女共同参画白書」によると、1980年には614万世帯だった共働き世帯は、2019年には、倍以上の1245万世帯にまで増加している。2019年12月から今も尚続く新型コロナウイルスの流行により、リモートワークや時差出勤のような、新しい働き方が推奨されている。また、SNSで収入を得るインフルエンサーのような新しい職業も生まれた。インフルエンサーのような職業は、兼業や副業として、本業と二足のわらじで働く人も珍しくない。加えて、厚生労働省が2020年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、副業や兼業が明確化されたことからも、副業への関心が高まっていることがわかる。 このような社会の変化に伴って、働き方もアップデートされるべきではないだろうか。一日の労働時間を8時間と仮定すれば、我々は労働に一日の1/3の時間を費やしていることになる。人生において、ほとんどの人が切り離すことのできない労働は、もっと満足できるようなものに変化していくべきではないか。 ここで、日本生産性本部(2020)が発表した労働生産性の国際比較を紹介する(日本労働生産性本部, 「労働生産性の国際比較 2020」, オンライン, 〈https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/report_2020.pdf〉, (accessed Nov. 28. 2021), 4頁)。2019年日本の就業者一人あたり労働生産性は、OECD加盟国の中で37カ国中26位だった。また、G7(仏, 米, 英, 独, 日, 伊, 加(議長国順))内での順位は統計を開始した1970年以来、最下位を脱したことはない。 このことから、日本は各国と比較して労働生産性が高いとは言えない事がわかる。では、労働生産性が高い国は、働き方にどのような特徴があるのか。第1章 はじめに

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