松山大学(学生懸賞論文集)第39号
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週5日40時間勤務はもう古い?副業時代の働き方87 一人あたり労働生産性が10位のオランダは、パートタイム労働者が多い国である。正木・前田(2003)によると「2000年における就業者に占めるパートタイム労働者の割合は42.3%」(正木・前田, 2003, 3頁)であり、2009年の日本の雇用者総数中パートタイマーの占める割合26.9%(厚労省(2010)「パートタイム労働法・指針に規定された事業主の講ずべき措置とその実施状況」)に比べてとても高いことがわかる。なお、オランダにおけるパートタイマーは、日本とは異なり、正規雇用、期間の定めのない雇用契約である事が多い。 次に、先述の労働生産性国際比較においてランキング13位、G7加盟国のなかでは3位であるドイツの働き方を紹介する。エクスペディア(2021)が発表した各国の有給休暇取得日数・取得率のデータ(エクスペディア, 「有給休暇国際比較調査」, オンライン, 〈https://welove.expedia.co.jp/press/50614/〉, (accessed Nov. 28. 2021))によると、ドイツは有給休暇取得日数・取得率ともに世界一高い。具体的には、2020年のドイツの有給休暇取得日数は25日で、これは支給日数30日に対して、取得率83%である。一方、同年の日本の有給休暇取得日数は9日で、これは支給日数20日に対して、取得率45%ととても低い。 このことから、日本の労働生産性が低いのは、労働生産性上位の国に比べて、柔軟な働き方ができていない事が関係していると推察される。 柔軟な働き方は、よりよいアイデアを生み出し、それを実現しやすくなる。ひいては社会発展につながるのではないか。これから働き始める私たち学生にとって、これは大変興味深いトピックである。 そこで、我々は、「働き方はどうアップデートされるべきかを法定時間の枠組にとらわれず研究し、最も最適な働き方を提示する」という目的で、満足できる働き方にはどんな要素が影響するのか、調査することにした。先行研究では、「労働日数・時間」に注目した研究が少ないことに気がついた。しかし、先述の通り、労働生産性の高い国は労働時間・日数の柔軟性が高く、「労働時間・日数」と「労働生産性の高い働き方」は関係がありそうだと我々は考えた。そこで、本論では「労働時間・日数」に着目し、「時間」、「日数」、「副業」をキーワードにアンケートを行い調査・分析した。

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