表3-3は、回帰モデル⑴の推定結果である。推定にはExcelの分析ツールに含まれる「回帰分析」を用いて行った。表より、平均地価に影響を与える説明変数として、人口(人)、平均年齢(歳)、2次産業(%)、3次産業(%)、納税義務者1人あたり所得(万円)、住宅に住む世帯(世帯)が統計的に有意であった。この変数の中で、平均地価にプラスに影響した変数は、納税義務者1人あたり所得(万円)、住宅に住む世帯(世帯)であり、マイナスに影響した変数は、人口(人)、平均年齢(歳)、2次産業(%)、3次産業(%)であった。最後に、災害を連想させる漢字を含む地名のダミー変数のデータは有意ではなかった。有意にならなかった理由として、本節のデータは自治体単位であることから、範囲が広いため(例:松山市、大洲市、今治市など)、災害を連想される漢字が含まれても、その影響がほとんど出なかった可能性がある。そこで、次節ではより細かいデータとして、国土交通省が公開している公示地価を用いて検証を行う。 この節では、公示地価を用いることで、前節のデータでは考慮していなかった住宅地以外の用途(商業用や工業用など)も含めて検証を行う。なお、前節では四国地域を対象としていたが、公示地価はデータが非常に多くなるため、この節では愛媛県のデータのみを用いて検証を行った(なお、全国データを用いた分析も行ったが結果は愛媛県データを用いたものとそれほど変わらなかった)。また、住宅地以外の商業用や工業用も含めた地域での検証を行った。地方公共団体である市町村とは別にその区域内にある集落あるいは、都市内の街区群にあたる町村も地名の中に含めることにする。 まず、水災害を連想させる文字を含む地名とそうでない地名の選定を行い、次に国土交通省の公示地価データの中から、必要なデータの抽出を行った。そして最後にヘドニック価格法を用いて、公示地価に影響を与える要因を分析した。ここで、表3-2のアンケート調査結果より、愛媛県に存在する地名で災害を連想させるものが、水、川、谷であったため、これらの文字を分析に含め災害を連想?~地名が地価に与える影響~114 公示地価を用いた実証研究
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