学生懸賞論文集 第40号
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 この度2022年度松山大学学生懸賞論文集を刊行いたします。学生懸賞論文の目的は、『松山大学の学生(大学院生を除く。)及び松山短期大学の学生に論文執筆の機会を提供し、もって、学生の研究意欲の向上を図ることを目的とする。』と定めており、本学学生の研究への意欲や探究心を刺激すると同時に、本学の研究教育成果を広く社会に公表・還元する制度であります。この学生懸賞論文の制度は、1975年に始まったとても歴史のある制度で、今年度で48回目となります。 本年度も新型コロナウィルス感染症の収束の兆しは見えず、対面授業と遠隔授業を併用しながら授業を進めて参りました。こうした状況の中でも、学生の研究活動を継続させ論集を刊行できること、大変嬉しく思います。 学生懸賞論文の一次審査は執筆要領に従って書かれているかどうか、形式的な側面について審査します。昨年度より教育的観点からこの1次審査の結果を応募者に伝達し、適切な修正を求めることとしました。2次審査においては、当該論文の内容に近い研究をしている教員2名が匿名で厳正な審査を行います。このような厳しい審査を通過した2篇の論文が本論集に掲載されております。いずれも現代社会が抱える課題を反映した興味深いテーマが取り上げられています。 金賞は1篇の論文が選ばれ、経済学部の楠 馨太さん(他5名)の論文「災害を連想?~地名が地価に与える影響~」です。この論文では、地名に災害・水害を連想させるような文字(漢字)が含まれていた場合、その土地の地価に影響を与えるのかどうかに注目し、愛媛県のデータを用いた分析を試みています。本研究は、論証の手法として、軽量経済学のモデルに基づき、適切なデータによる実証分析を実施しており、客観性が確保されています。分析の結果、水害を連想させる文字が地名に含まれることによって、その土地の地価が低下する傾向にあると結論づけています。 続いて、今年度は銅賞が1篇選ばれ、経済学部の寺田亜実さん(他2名)の論文「健康ポイント事業がもたらす健幸まちづくりの可能性-成果につながる要因の分析-」です。この論文では、インセンティブを活用した健康を促す取松山大学総合研究所 所長 中溝 晃介2022(令和4)年度 学生懸賞論文集の発刊にあたって

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