学生懸賞論文集 第40号
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地名の地価データを用いて検証を行った。 第一に、災害を連想させる漢字を含む地名について知るためにアンケート調査を行い、5905人の回答を得た。また、都市データパック2020から住宅平均地価を参考に、地価に影響を及ぼすと予想される項目を説明変数に置き、地価=α+β1(災害を連想させる漢字を含む地名)+β2(出生率)+・・・+β15(住宅に住む世帯)+β16(病院)というモデルを使用して分析を行った。その結果、住宅平均地価に影響を与える説明変数として、人口(人)、平均年齢(歳)、2次産業(%)、3次産業(%)、納税義務者1人あたり所得(万円)、住宅に住む世帯(世帯)が有意であることがわかった。この結果から、住宅平均地価に影響を与える要因に災害を連想させる漢字は含まれていないことがわかった。 また、新たな仮説として商業地域や工業地域などを含めた公示地価を利用し、さらに対象を四国から愛媛県に絞り分析を行った。前章同様、地価に影響を及ぼすと予想される項目を説明変数に置き、地価=α+β1(公共交通からの距離)+β2(水道)+・・・+β18(水)+β19(川)+β20(谷)というモデルを使用して分析を行った。その結果、地価の上昇に影響を与える説明変数として、ガス、下水道、建ぺい率、容積率、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第1種低層住居専用地域、第1種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域が有意であることが分かった。一方で、地価の低下に影響を与える説明変数としては公共交通からの距離、水道、工業専用地域、水であることが分かった。この検証によって、災害を連想させる漢字である「水」がマイナスで有意であったため、地価の低下に影響を与えている可能性が明らかになった。 本稿では、災害を連想させる漢字と地価の関連性について分析・研究を行った。結果として、予想した通り、災害を連想させる文字が地名に含まれることによって、その土地の地価が減少する可能性があることが明らかになった。本研究は四国地方全体と愛媛県に焦点を当て検証を行ったが、他の地域では異なる結果が得られる可能性がある。したがって、今後は全国を対象にした調査を行い、検証を続ける必要がある。学生懸賞論文集第40号18

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