審査員1論 評:A:論文の形式 1.構成力(論文として章節等の体系化)論 題:災害を連想?~地名が地価に与える影響~ 基本的な構成には大きな瑕疵はなく、とくに先行研究の整理と統計分析に基づいた分析のパートはきちんと整理されている。他方で、分析結果から導出される結論の妥当性にはやや疑問が残る点や冒頭で提示される問題意識と分析内容に若干の齟齬が存在する点などに課題が残る。 2.文章表現力(論述の明確さ、漢字・用語の妥当性) おおむね問題はなく、統計分析の際に用いる専門用語などもきちんとした理解の上で使用しているように思われる。ただし、誤字脱字や文章として成立していない文章が所々に存在している(p.11末尾~p.12冒頭など)。 3.準拠性(文献・資料の引用方法)先行研究のサーベイと説明は丁寧に行われており、引用方法も適切であると言える。しかし、統計分析に用いたデータの出典が明示されていない点は改善が必要である。B:論文の内容 1.テーマの設定(問題意識の独自性・妥当性) 設定されたテーマは非常に独創性が高く興味深いものである。災害と地名の関係については地域ごと・地名の成り立ちごとに千差万別ではあるが、2014年に土砂災害が発生した広島市安佐南区八木地区の地名が土砂災害の頻発を示唆する「蛇落地悪谷」であったという話題などは、当時多くの人の関心を集めた。また地球温暖化の影響で豪雨災害が深刻化する中で水害への関心は高まっており、これらの関心が地価形成にどのように影響学生懸賞論文集第40号22<講 評>
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